故人を見送る準備の死後ケア
臨終を迎えた後に行う衛生処置と死化粧をエンゼルケアと呼びます。昔は自宅で亡くなった方の遺体を沐浴させる湯灌(ゆかん)を親族が行っていました。今は病院で亡くなる方が多いため、看護師や病院が提携する葬儀社などの業者が行います。
遺体は医療器具や治療でできた傷を手当し、お湯やアルコールで全身を丁寧に拭く「清拭」(せいしき)を施して清めます。鼻や口、耳、肛門へ脱脂綿や専用のゼリーを詰め、死装束、あるいは故人のお気に入りだった服を着せます。着替えが済んだら髪を整えて爪を切り、死化粧を施します。エンゼルケアは感染症のリスクを避けるため、専門知識のある人の手で適正に行われます。
遺体の変化が激しい夏場や遠方に遺体を搬送する場合、また火葬まで時間がかかってしまう場合は、遺体に殺菌、消毒、防腐処置を施すエンバーミングを行います。遺体を美しく整える修復処置もエンバーミングに含まれます。エンバーミングによって遺体は10~20日ほど保存されます。
↑死後のケアとは別項の概要なのでこの項は不要と思われます。エンバーミングや湯灌の説明の項で表したい内容です。また、エンバーミングを施したご遺体保全は日本の規定(IFSA:一般社団法人日本遺体衛生保全協会)により50日以内とされています。
末期の水
遺族と故人とのお別れの儀式として「末期の水」があります。割りばしや筆の先に脱脂綿やガーゼを巻き付け、水を含ませて故人の唇を潤します。血縁の近い人から順番に一人ずつ行い、安らかにあの世へ行けるようにと願いながら、故人とお別れをします。「末期の水」は「死に水」ともいわれ、お釈迦様の入滅の際、弟子たちがお釈迦様の口元を湿らせてあげたエピソードに由来する伝統の葬送儀礼です。