8.遺体処置と納棺

故人の体を清める

葬儀の前に遺体を棺に納める儀式として納棺があります。納棺に先立ち、遺体を清め、整える「湯灌」(ゆかん)を行います。この湯灌を専門に行う人を「湯灌師」または「納棺師」と呼びます。

元来、湯灌は逆さ水(水にお湯を足して作るぬるま湯)と呼ばれるぬるま湯で体を拭いて差し上げる儀式ですが、最近では湯灌師や納棺師によって簡易浴槽を用意し最後のお風呂としてお身体を洗い清めるサービスにも需要が多いです。これは湯灌の儀とも呼ばれ、ご家族が故人へお湯をかけてあげることもでき、穏やかな生前のお姿に戻られるようお心を込めてご家族やご友人さまらと一緒にお手添いが可能です。湯灌を行っている時に生前の故人様との思い出を親しい方とお話をすることにより、グリーフケアにも繋がります。入院中や療養中にお風呂になかなか入れなかった方や温泉がお好きだった方には湯灌は大変喜ばれます。本当に湯上りのような表情になります。

人は産まれた時にはすぐに産湯に入りますよね。人生を全うした時にも最後はお湯に浸かり穏やかに…。日本人ならではのものが湯灌なのです。

湯灌は専用の入浴車で給排水ができますので、葬儀会館はもちろん、入居施設やご自宅でも行えます。

このように病院で臨終後に行う清拭(エンゼルケア)処置とは大きく意味合いが違うのです。

 

死装束を着せる

体を清めた後に、あの世への旅立ちの装いである死装束を着せます。俗に旅支度ともいいます。白の巡礼服に三角布、経帷子が昔ながらの死装束ですが、近年は故人の愛用していた服を着せるケースが増えています。死装束は宗派によって異なり、仏式と神式でも違いがあります。必要に応じてメイクを施すこともあります。

 

遺体を納棺する

死装束に着替えたら遺体を棺に納め、遺族が合掌した後にふたを閉めます。本来の納棺は遺族の手で行うものでしたが、近年は納棺師や葬儀社のスタッフが行っています。納棺の際には故人の愛用品などを副葬品として入れることができます。

 

副葬品は故人の肉体と共に燃やせるものに限られます。金属やガラス製品、陶磁器などの不燃物、ナイロン製品や皮革素材のもの、燃やせても本のように大量の灰が残るものは副葬品にできません。メガネやアクセサリーなどを副葬品にしたい場合は、火葬後に骨壺の中に納めましょう。

 

 

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